野球肩の原因とその対応
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野球肩はどういったものですか
幅広い選手層でみられる
野球における肩の痛みは、小学生では比較的少ないのですが、中学生・高校生になり練習量や練習時間が増加すると徐々に多くなる傾向があります。野球肩は少年野球の方からプロ野球選手に至るまで幅広い選手層でみられるため、投球技術やコンディションなど様々な原因により生じます。
ピッチャーとキャッチャーに多い
野球肩の改善を目的にご来店くださる方は多く、ポジションでは①ピッチャー、②キャッチャー、③外野手、④内野手の順で多くみられます。また、バッティングピッチャーを行うことによって突然痛みが出たと訴えられる場合もあります。
痛みの原因は肩だけではない
野球肩の場合、アイシングやストレッチを行っても思うように改善してこないこともあります。その理由は痛みの原因が肩だけではなく、肩甲骨、背骨、股関節、腕、手首といった複数の関節の動きや連動などに原因があるからです。そのため野球肩の治療はスポーツのケガのなかでも難しいと考えられています。さらに野球肩に対応できる治療者も非常に限られているのが現状です。
スポーツ治療の専門家に依頼する
プロ野球選手においても適切な治療者に依頼することができなければ野球肩が改善しないため、痛みを我慢して投球を続けたり、痛み止めの薬や注射を用いて非常に危険な状態のまま投球を続けている選手もいます。高校球児においても監督に痛みがあることを伝えられないまま無理をしている選手がほとんどです。野球肩を改善するためにはその専門性が必要になります。早期に改善を望まれるのであればスポーツ治療の専門家に依頼することをおすすめいたします。
痛みが強くなれば改善に時間がかかる
投球時や投球後に痛みが出るが、翌日まで痛みが続かないのであれば改善にも時間がかかりません。しかし、すでに強い炎症により投球ができないほどの痛みが出ている場合、安静期間や全身状態の改善に時間を要する場合もあります。このような場合、試合や練習を続けることが難しくなりますので、肩の違和感や張りといった(カラダからの警告)を自覚されている段階で早めに対応することをお勧めしています。
なぜ肩が痛くなるのか
肩や腕の力でしか投げれなくなっている
結論から申しますと、投球で肩に痛みが出るのは肩や腕の力でしか投げれなくなっているからです。投球動作は、ご存じの通り下半身の動きから始まり体幹・肩甲骨・腕・手へと動きがつながっていく全身運動になるのですが、股関節や肩甲骨などの動きに問題が生じていると効率的な動きができなくなり、結果的に肩や腕の筋力に頼った投球しかできなくなります。筋力に頼った投球動作の継続は柔軟性も著しく低下するため痛みの悪循環を生じることとなります。
筋力でパフォーマンスの低下を防いでいる
股関節、体幹、肩甲骨などの柔軟性が低下した状態やインナーマッスルが機能していない場合は球速が低下しやすくなりますが、球速の低下を補うためには、どうしても筋肉の力に頼ることになります。胸や肩、肘の張りが出てくるのはこのためで、筋肉の力でパフォーマンスの低下を防いでいるのです。これが腕投げになっている理由なのです。
痛みはカラダの異常を知らせる警告
スポーツ選手にとって痛みはなるべく避けたいものですが、痛みはあなたのカラダに生じた異常を知らせる警告の役割があります。痛み止めなどを用いて無理に競技を続けると関節や腱の損傷など致命的なケガを生じる危険性も出てきます。痛みが生じている場合、根本的な原因を改善しカラダの異常を改善する必要があるのです。
投げすぎと痛みの関係
投げ過ぎよりもカラダの問題
野球肩は、肩に負担をかけた投球を何度も繰り返すことによって生じたものであるため、投げすぎが原因であるという考え方もありますが、根本的には投げすぎというよりも「全身ががうまく動けないまま投球を続けたことによって肩へのストレスが増大した」ということが考えられます。
連投しても痛みが出ない選手もいます
一般的には、投げ過ぎによる肩へのストレスが野球肩の原因だと説明を受けることが多いと思いますが、カラダの状態が悪ければ数十球投げただけでも野球肩になる可能性があります。しかし、逆に連投をしても肩に痛みを生じない方もいます。そうした方は、投球数が増えても肩に負担がかからない全身の柔軟性や投球技術、適切なメンテナンス方法などを持ち合わせているということになります。
野球肩を防ぐポイント
カラダの回転運動を妨げない
投球動作はキャッチャー方向への平行運動とカラダの回転運動が組み合わされて行われます。そのため、野球肩を防ぐために最も重要なことは、カラダの回転運動を妨げない柔軟性を獲得することになります。 平行運動とは、身体の重心を軸足に載せ、その重心を前方に加速させながら移動することで大きなパワーを生み出します。
遠心力としなりを活かす
前に振り出した足に加速された重心を伝えると、同時にカラダの回転力が生まれてきます。股関節や体幹で行われる回転により遠心力が生じることで、「釣り竿」のようにカラダや腕がしなって振り出され、肩・肘・手首・指へとエネルギーが伝わり投球が行われます。この遠心力やしなりが失われると過剰な力が必要となり野球肩になりやすくなります。
カラダがムチになる感覚を得る
全身の回転動作により遠心力やしなりが効率的に使えてくると、腕が自然とムチのように振られてきます。そうすれば力に頼ることなく、鋭く伸びのあるボールが投げれるようになってきます。腕の力が抜けず野球肩を繰り返してしまう方はこのような感覚を得られるようなコンディション調整や練習をする必要があります。
本来はそれほど腕の力は必要ない
足・股関節・体幹・肩甲骨・肩・腕・手・指といった全身の連動した動きが行われていれば、投球を行うのにそれほど力を必要としません。力だけに頼らない投球技術を得ることができれば、あなたのパフォーマンスが向上すると共に、投球による痛みやケガを防ぐことになります。
バッティングにも共通するメカニズム
投球技術は、投手だけが必要なものではなく、誰もが持ち合わせなければならない技術になります。投球動作の一連の回転運動のメカニズムはバッティングにも共通するメカニズムだからです。大谷翔平選手が投球、バッティングともに優れているのはこのような理由があるのです。しかし、私はダルビッシュと筋トレを行うようになって良いものが失われたように思えますが。。。追伸:その後やはり肘を故障され手術を行われたのですね。
野球肩はどうすれば治るのか
練習をしながら改善できる
非常に強い痛みで投球ができないような場合は、コンディションが修正できるまで投球を中止して安静を保つ必要があるかもしれません。しかし、痛みがあるもののなんとか投球できる場合や、翌日に痛みが治まるような場合は多くの方が練習をしながら痛みを改善することができます。
ストレッチだけでは改善が難しい
肩の痛みが出ている場合、肩のストレッチを行ってもなかなか痛みが治まらない場合が多々あります。その理由は、他の動きにくい場所を補うために肩が頑張っているからです。ストレッチを行う場合は、全身の動きを把握してストレッチのメニューを組み立てていく必要があります。アイシングなどで炎症を抑えることは重要ですが、根本的に改善するためには、全身状態を把握して痛みの原因を特定しなければなりません。
痛みを改善するために
野球肩を治していくためには、まず、どのようなときに、どこに痛みが出るのかを正確に把握します。そして痛みが出ている場所になぜストレスがかかるのか股関節、脊柱、骨盤、胸郭、肩甲骨、肩の柔軟性やインナーマッスルによる関節の安定性やその反応をみながらカラダの連動を把握し修正していきます。野球肩といってもその原因は1人ひとりが異なります。そのため野球肩の治療は「これ」といった治療方法があるわけではないので、修正しては再確認といった作業を行い試行錯誤していく必要があります。
柔軟性がない方は
全身の柔軟性を一度で改善することは難しいかもしれませんが、股関節と肩甲骨の柔軟性をしっかりと出すだけでもかなり投球の感覚が変わり楽になると思いますので、ぜひご自分のカラダと向き合ってチャレンジしていただきたいと思います。ストレッチでは自分の得意なところばかりに時間をかけては逆効果です。普段時間をかけて行わない苦手な硬い場所をじっくり行ってください。
改善が難しければ専門家に依頼する
すでに強い痛みが出ている場合、なかなか力が抜けないことや、悪い動きを積み重ねていることもあって改善は容易ではないと思います。これからの選手生命を左右することのないように、野球肩でお困りの場合は、ぜひスポーツ治療の経験が豊富で全身状態を把握することができるスポーツの専門家にご相談されることをおすすめいたします。
フィジカルデザインは、プロスポーツ選手と研究を続けているノウハウが豊富にあります。また、貴重な練習時間などに影響しないよう夜間営業しておりますので、ぜひご検討くださいますようよろしくお願いいたします。