体幹と呼吸の関係

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1.意識にのぼらない呼吸の状態

 

呼吸の感覚も動作感覚
あなたは自分の呼吸をどのように行っているか感じたことはあるでしょうか?「非常に楽でどこまでもスムーズに行える呼吸」または「胸が圧迫されて息が吸いにくい呼吸」このような呼吸の感じ方は動作感覚の1つです。

呼吸もコンディションに左右される
呼吸は体幹を含め全身のコンディションや固有感覚によっても左右されるため、一人ひとり同じ状態の人はいません。あなたがまったく問題なく呼吸できていると思う場合でも、細かく体幹を観察していくと適切な呼吸が行われていない場合があります。

インナーマッスルが活動しにくい状態
呼吸が楽に行えない場合、その多くは部分的に胸郭の硬さを認め、背骨をはじめ肋骨や肩甲骨の動きが低下し、体幹を滑らかに動かすために必要な深層筋(インナーマッスル)も活動しにくい状態になっている場合が多くみられます。

カラダが動かなければ楽に感じない
体幹を構成している背骨、肋骨、肩甲骨、骨盤などをスムーズに動かすことができなければ、呼吸するだけでも努力的に多くの筋肉を使わなければならないため、効率的な動きを実現することはできません。

意識しなければ感覚を感じにくい
すでにカラダの硬さが出ているにもかかわらず、背骨や肋骨の動きまで低下していると認識できる方は非常に少なく、むしろ普通に動いていると感じている方も少なくありません。カラダの硬さはセンサーの感度も鈍りカラダの変化を感じにくくなるのです。

 

 

 

2.筋肉の過剰な緊張は感覚を鈍らせる 

 

感覚を狂わせているのは余分な緊張
カラダが動きにくくなっている場所があるにもかかわらず、自分では認識できていない方は非常に多くみられます。このようにカラダの感覚を狂わせているのは、カラダの表面にある大きな筋肉が過剰に働き緊張をつくっているのが原因です。過剰な緊張が関節の動きを抑制しているため、インナーマッスル(深層筋)の中にある、動きのセンサーからの感覚が得られにくくなっているのです。

呼吸機能もパフォーマンスに影響している
全身がスムーズに動くことができない状態では、十分な酸素の取り込みや二酸化炭素の排出が行えず、運動時の耐久性が低下すると共に、動作感覚も低下しているため、技術的面をはじめパフォーマンスにも影響が及んでいるということを理解することが重要です。

体幹のコンディションは全身に影響する
体幹の動きはわずかに制限されるだけでも、カラダはその動きを補うよう他の場所を努力させるため、体幹のコンディションは全身に大きな影響を与えています。このような努力的な緊張は、全身の効率の良い動きや、滑らかな動きの流れを止めてしまうことになります。そのため、比較的軽い運動においても、早期に筋肉の疲労が出たり、カラダの重さ、あるいはキレのなさを感じる原因にもなります。

 

 

 

3.腹式呼吸か・胸式呼吸か 


腹式呼吸と胸式呼吸
あなたが行っている呼吸は、体幹を構成している胸郭の状態や運動時の呼吸方法などによって、主に腹式呼吸もしくは胸式呼吸のどちらかの呼吸法を用いる傾向があります。腹式呼吸は息を吸うときに横隔膜の活動により腹部を膨らませ、息を吐くときにはゆっくりと腹部をへこませる呼吸です。

腹式呼吸の呼吸
腹式呼吸を行うと1回の換気量の増加や、呼吸数の減少がみられ、呼吸補助筋である胸鎖乳突筋など首周囲の余分な筋肉の活動を抑制し、換気効率の良い呼吸パターンが獲得されるため一般的に良い呼吸とされます。

胸郭の動きも重要
多くの方の呼吸状態を実際に観察すると、胸がつぶれ、腹部だけが動き胸郭がほとんど動いていない方もみられます。このような場合、吸気量が減少している場合もあるため腹式呼吸が単に行えていれば良いというわけではありません。腹式呼吸が効率の良い呼吸だからといって、全く胸郭が動いていないというのも問題なのです。

重要なのは楽に行える呼吸
スポーツ選手にとって理想的な呼吸とは、息を吸うときに腹部や胸郭もスムーズに膨らみ、どこまでも楽に行える呼吸です。それには、体幹の動きを圧倒的に高めておく必要があります。体幹の動きを最大限発揮し、呼吸機能を効率よく活用するのです。スポーツ選手においては、腹式呼吸、胸式呼吸のどちらかだけにこだわるのではなく、腹式呼吸を基本として、胸郭の動きも自然に得られた理想的な呼吸ができる状態を目指す必要があります。

 

 

 

4、胸式呼吸の「ドローイン」は全身の緊張を高める

 

ドローイン、スクープなど
「ドローイン」とは、息を吐いた時にお腹を”へこませた”状態のことをいいます。その代表例は胸式呼吸を行うピラティスで、お腹をへこませることを「スクープ」する、あるいはトレーニング用語で「ドローイン」すると表現されます。

ドローインで行う腹筋の使い方
ピラティスをはじめ、テレビや書籍などで紹介されている「ドローイン」という腹筋の使い方は、どのような時にも腹筋に力を入れお腹をへこまします。一見、腹筋に力が入り安定が得られているように感じますが、常にこれだと身体全体に過剰な緊張が走りやすく、全身をしなやかに使えていないことがあります。また、大きな腹筋に過剰な緊張が入ることによりインナーマッスルによる細かいコントロールができないため本来の安定性も得られません。

過剰な力を抜くことが重要
本来行うべき体幹トレーニングでは腹部に過剰な力を入れることはありません。コンディションが整っている適切なカラダであれば過剰な力が入ることはないため、体幹を安定させるインナーマッスルが働き、身体を適切にコントロールできるため、他の大きな筋肉に余分な緊張は入らないのです。

重要なのはへこませて硬くしないこと
体幹トレーニングで気を付けたいことは、体幹を意識するあまり、お腹を「へこませ」または「お腹をしめて」硬くしないことだと思います。改めてお腹を硬くするのは誤ったトレーニングになります。体幹の安定性が得られにくくスポーツパフォーマンスが得られていないのであればスポーツ治療の専門家に依頼することをおすすめします。

 

 

 

5.呼吸を止めると筋肉の緊張を高める

 

誰からも教わらない呼吸
呼吸は生後に行う最も新しい運動の1つで、誰からも教わることもなく行っています。 しかし、誰もが驚いた時や、過剰に力んだ時などには、無意識に息を止めてしまうことがあります。

息を止めるとで生じること
息を止めることは、一般的に不安を感じている時や驚いた時に行うもので、その多くは胸や首などの筋肉の緊張を高め、リラックスした快適な状態を止めてしまいます。

スポーツで息を止めると
スポーツの場面で、ここ一番の時に息を止めて動作を行うとはあると思います。技術的に使い分けができていれば良いとは思いますが、その時に筋肉の力は出ていると感じるものの、全身は硬くなり、かえって動きの伝わりや滑らかさが失われる場合もあります。常用的に息を止めていると結果的に効率的な動きの流れが悪くなり、リズムが維持できなくなると共に、動きながら動作感覚を得ることや、考えることが難しくなりパフォーマンスが低下することもあるため注意を要します。

全てのスポーツに共通する呼吸
呼吸を止めることによる影響は、投球動作やバレーボールのスパイク動作、バッティングなどのスイング動作、あるいは自転車などのペダリングなど、全てのスポーツ動作に共通します。

呼吸を止めず声を出す
テニスの試合などを観察すると、ストロークやサーブの場面で「声」を出していることがありますが、力だけに頼らない技術だと思います。パフォーマンスを最大に出し切るためには筋肉だけにたよった過剰な力は必要ありません。苦しいときや、重要な場面こそ余分な力を抜き、常に呼吸を止めずに動作が行えるよう全ての練習やトレーニングで注意しておくことが必要ではないでしょうか。

 

 

 

まとめ

 

1.自分の呼吸は意識できていないことが多い

2.筋肉の過剰な緊張は感覚を鈍らせる

3.腹式呼吸が基本だが胸郭が動かないのは問題

4.ドローインでお腹をへこませ硬くするのは誤り

5.呼吸を止めると全身の緊張が高まる

6.動作中に呼吸を止めることのないよう日頃から練習する  


フィジカルデザインは、プロスポーツ選手と研究を続けているノウハウが豊富にあります。また、貴重な練習時間などに影響しないよう夜間営業しておりますので、ぜひご検討くださいますようよろしくお願いいたします。

 

 

 

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