インナーマッスルが機能しないと力は出ない|スポーツ選手のための筋肉の基礎知識

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INNER MUSCLE & OUTER MUSCLE

インナーマッスルが機能しないと力は出ない|スポーツ選手のための筋肉の基礎知識

鍛えているのに力が出ない。その原因は、深部の筋肉にある。

インナーマッスルと体幹の安定性

「筋トレをしているのに、なぜか力が出ない」「体幹を鍛えているはずなのに、フォームが安定しない」——その悩みの正体は、インナーマッスルの機能低下にあることがほとんどです。

アウターマッスル(表層筋)は力を生み出す筋肉、インナーマッスル(深層筋)は関節と体幹を安定させる筋肉です。この2種類の筋肉には明確な「順番」があり、インナーが先に働いて安定を作ってからはじめて、アウターが最大限の力を発揮できます。この順番が崩れると、筋力があっても力は競技動作に伝わりません。

SECTION 01|ROLE

アウターとインナー、それぞれの役割

筋肉は「動かす」と「安定させる」という2つの役割に分かれています。どちらが欠けても、競技で本来の力は出せません。

OUTER MUSCLE

アウターマッスル(表層筋)/力を生み出す筋肉

体の表面にある大きな筋肉で、目で確認できます。大胸筋・大腿四頭筋・大殿筋・ハムストリングス・三角筋などが代表的です。筋力トレーニングによって鍛えやすく、太く強くなることで競技パフォーマンスに直結します。

ただし、アウターマッスルが最大の力を出すためには、土台となる関節・体幹の安定が前提条件です。その安定を作っているのがインナーマッスルです。

INNER MUSCLE

インナーマッスル(深層筋)/安定を作る筋肉

骨や関節の近く、身体の深部にある小さな筋肉群です。腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋群・肩や股関節周囲の安定筋などがあります。体を大きく動かすのではなく、「動く前に関節を安定させる」ことが主な役割です。

小さく繊細なため、一般的な筋力トレーニングでは鍛えにくく、姿勢の崩れや疲労・痛みによって機能が低下しやすい特徴があります。

SECTION 02|MECHANISM

「インナーが先、アウターが後」という順番が競技力を決める

最新の運動科学の研究では、スポーツ動作が起きる前に腹横筋や多裂筋などのインナーマッスルが先行して活動し、関節と体幹を安定させていることが明らかになっています。この「安定の先行」があることで、アウターマッスルが最大限の力を発揮できます。

STEP 01

INNER ACTIVATION

インナーマッスルが先に働いて関節・体幹を安定させる

動作の直前、腹横筋・多裂筋などが無意識に収縮し、腹圧(体幹内圧)を高めて体の軸を作ります。

STEP 02

OUTER ACTIVATION

安定した土台の上でアウターマッスルが力を発揮する

安定した軸ができてはじめて、大胸筋・大腿四頭筋・三角筋などの大きな筋肉が本来の出力を発揮できます。

STEP 03

PERFORMANCE

力が身体全体を通じて競技動作に伝わる

インナーとアウターの協調が成立したとき、投げる・走る・蹴る・跳ぶといったすべての競技動作に無駄なく力が伝わります。

この順番が崩れると何が起きるか

インナーが機能しない状態でアウターだけが動くと、関節は不安定なまま大きな力がかかります。力のロスが生じるだけでなく、腱板・腰・膝などへの負担が集中し、慢性的な痛みやケガにつながっていきます。

SECTION 03|BY SPORT

競技別に見るインナーマッスルの働き

あなたの競技でも、このような場面はありませんか?

野球

腕・肩を鍛えているのに、投球時に「力が逃げている」感覚がある

投球動作では、肩甲骨周囲のインナーマッスルが先行して安定を作り、その上でアウターが加速します。インナーが機能していないと力は腕だけで生まれ、肩や肘への負担も集中します。

陸上

スピードを上げると姿勢が崩れ、腰や膝に負担がかかりやすい

接地の瞬間、腹横筋と多裂筋が骨盤を安定させることで地面反力が推進力に変換されます。インナーが弱いと骨盤が揺れ、腰椎と膝関節に余分な負荷が集中します。

サッカー

キック力はあるのに精度が出ない、または蹴った後に鼠径部が痛む

キック時に股関節周囲のインナーが骨盤を固定し、そこからアウターが蹴る力を生み出します。固定ができていないと力が逃げ、精度が落ちるだけでなくグロインペインのリスクも高まります。

バレー

スパイクで腕は振れているのに威力が出ない、着地で膝に負担を感じる

スパイクや着地のたびに体幹インナーが衝撃を吸収し、力を上から下・または下から上へ伝えます。インナーが機能しないと膝と腰への負担が蓄積し、ジャンパー膝や腰椎分離症のリスクが上がります。

SECTION 04|EVIDENCE

痛みがあるとインナーマッスルは機能しなくなる

「痛みがある状態でトレーニングを続ければ強くなる」という考え方は、インナーマッスルの観点からは逆効果になることがあります。研究によって、痛みがインナーの働きを著しく低下させることが明らかになっています。

RESEARCH DATA 01

腰痛患者の約80%に多裂筋の委縮を確認

Kaderらの研究では、腰痛を抱える選手の大多数において、体幹インナーの核である多裂筋が委縮していることが確認されています。痛みが先にあり、それがインナーを機能させなくなるという悪循環が起きています。

RESEARCH DATA 02

腰痛がある選手は腹横筋の活動が約10%にとどまる

Richardsonらの研究では、健常者の80%以上が動作前に腹横筋を活動させているのに対し、腰痛を持つ選手では約10%にとどまることが示されています。痛みがある状態でいくら筋トレをしても、インナーが先行して働かない限り根本的な改善にはつながりません。

SECTION 05|APPROACH

インナーを機能させるために、まず身体の状態を整える

インナーマッスルは繊細で、姿勢の崩れ・関節の可動域制限・疲労・痛みがある状態では、いくら意識しても正しく機能しません。トレーニングの前提として「インナーが働ける身体の状態」を作ることが必要です。

インナーが機能するために必要な3つの条件

関節の可動域が確保されていること。可動域が制限された状態では、インナーは安定のために動きを止めようとして過緊張になります。

姿勢のアライメント(骨の並び)が整っていること。骨盤・脊柱・肩甲骨の位置が崩れていると、インナーが正しいポジションで働けません。

痛みや過剰な緊張が取り除かれていること。痛みがある状態では神経系の防御反応によってインナーの活動が抑制されます。

フィジカルデザインでは、筋力の前にこの「土台となる身体の状態」を整えることを施術の出発点にしています。インナーが先行して働ける状態を作ることで、選手がもともと持っている筋力・技術が競技動作に正しく伝わるようになります。

SUMMARY

まとめ:インナーとアウターのバランスが競技力の土台

スポーツ選手がインナーマッスルについて理解しておくべきポイントは4つです。

01

インナーが先に働き、アウターが後から力を出す。この順番が成立して初めて、競技動作に力が伝わる。

02

インナーは痛み・疲労・姿勢の崩れで機能しなくなる。筋トレを続けても改善しない場合、インナーの機能低下が背景にある可能性が高い。

03

野球・陸上・サッカー・バレーなど、すべての競技でインナーの働きは共通している。競技が違っても、「安定してから動く」という身体の原則は変わらない。

04

インナーを機能させるには、身体の状態を整えることが先決。可動域・姿勢・痛みの3つが整ってから、トレーニングの効果が最大化される。

一度ご相談いただくだけで、原因が明確になります

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