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体幹トレーニングをしていても膝や足首の怪我を繰り返すのはなぜか|重心を作るのは腰椎だった
体幹トレーニングを欠かさず行っているのに、膝や足首の怪我を繰り返していませんか。
「もっと体幹を鍛えれば防げるはず」と負荷を上げても怪我が減らない場合、原因は体幹の強さではなく、腰椎(腰の骨)による重心移動の繊細なコントロールにあるかもしれません。
TEST
バランスディスクの上で片足をわずかに挙げられますか
フィジカルデザインでは、選手の身体を評価する際、バランスディスクに座った状態から片脚をわずかに挙上していただくという、非常にシンプルな動作を確認します。
競技レベルの高い選手であっても、この動作を安定して行える方は決して多くありません。左右への重心移動、お尻の筋肉(臀部)の適切な収縮、そして腹圧(体幹を内側から安定させる力)によるコントロールのいずれかが不足していると、この単純な動作がうまく成立しないためです。
見た目には難易度の高いトレーニングをこなせているように見える選手でも、この基礎的な動作でつまずくケースは珍しくありません。体幹トレーニングの多くが「動作をこなせているかどうか」に注目しがちで、その動作を支えている土台の機能までは評価されにくいためだと考えられます。
MECHANISM
重心移動の主導権は、実は腰椎にある
この単純な動作の裏側で起きていることを整理すると、次のような順序が見えてきます。まず腹圧による体幹の安定が土台としてあり、それが機能して初めて、腰椎をわずかに左右へ動かす微細なコントロールが可能になります。この腰椎の動きそのものが、重心移動の実体であると考えられます。
一般的には、重心移動やバランス能力はお尻や太ももといった下肢の筋力によって生み出されているとイメージされがちです。しかし実際には、下肢は腰椎が作り出した重心を受け止め、支えるという受動的な役割を担っているにすぎません。重心移動の主導権は下肢ではなく、腰椎側にあると言えます。
つまり、いくら下肢のトレーニングを積み重ねても、重心そのものを生み出す腰椎のコントロールが機能していなければ、根本的な改善にはつながりにくいのです。
RISK
見過ごされがちな痛みの連鎖
腰椎で重心移動を主導できない選手が片脚立ちの姿勢を取ると、支持脚側に重心を完全に乗せきれず、骨盤が反対側に落ちる状態(骨盤下制)が起こります。重心が支持脚に十分乗らないまま身体を支えようとすることで、対側の膝には外側に開き、ねじれるような力が繰り返しかかることになります。
この負荷の蓄積が、膝内側の痛みや腸脛靭帯炎(膝の外側を通る腱が擦れて炎症を起こす症状)、足首の捻挫、そして腰や首の痛みへと波及していくと考えられます。一見すると別々の部位の不調に見えても、その根っこをたどると、同じ「重心移動を腰椎が主導できていない」という一点に集約されているケースが少なくありません。
どちら側に症状が出やすいかは選手によって異なり、両側とも制御が難しい方もいれば、片側だけ重心を乗せられないという方もいます。切り返し動作の多いサッカー選手のように、競技特性によって特定の傾向が強く出ることもあります。
GAP
一般的なトレーニングで見落とされやすいもの
体幹トレーニングやパーソナルトレーニングの多くは、お尻や下肢の筋出力を高める種目を中心に組まれる傾向があります。プランクやクラムシェル、サイドランジといった種目はいずれも重要なトレーニングですが、それだけでは重心を実際に作り出している腰椎の微細な制御までアプローチしきれないと考えられます。
見た目のトレーニング強度を上げれば改善するはずだという発想は、根本の土台が整っていない状態では機能的なトレーニングになりにくいと言えます。まずは、重心移動の主導権を握る腰椎の機能そのものに目を向ける必要があります。
APPROACH
フィジカルデザインのアプローチ
フィジカルデザインでは、バランスディスクによる評価に加えて、起立動作、片足立ち、左右への重心移動、股関節の可動域、骨盤の前傾・後傾、腰椎の前弯・後弯、脊柱の配列、腹圧の機能的な状態まで、詳細な評価を行います。
そのうえで、代償的にバランスを取っている箇所、つまり腱や皮膚、骨膜などの癒着によって可動域制限が生じている箇所を徹底的に取り除いていきます。可動域に制限があると、わずかな動きにも余計な力が必要になり、それが腹圧を生み出すインナーユニット(呼吸や体幹の安定に関わる深層の筋肉群)が機能しない原因になっていると考えられるためです。
多くの方が選ばれるベーシックコースでは、施術当日のうちに体幹・腹圧がある程度機能し、安定が得られる状態を目指します。翌日に競技を行った際、動きが大きく変わったと感じられる選手も少なくありません。
SUMMARY
まとめ|怪我を繰り返す前に、重心の作られ方を見直す
今日からできることは3つです。
バランスディスクで片脚をわずかに挙げてみる。左右差なく安定して行えるか、まず自分の身体で確認してみましょう。
下肢のトレーニングだけでなく、腰椎の微細なコントロールと腹圧の機能に目を向ける。見た目の強度よりも、土台が整っているかどうかが重要です。
繰り返す膝・足首・腰・首の不調は、部位ごとに対処するのではなく、重心移動の根本から見直す。

