体幹トレーニングの注意点

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1.体幹トレーニングを始める前に

 

体幹のコンディションを完璧に仕上げておくことは、スポーツ競技において圧倒的なパフォーマンスを発揮するために欠かすことができません。 

なぜなら、体幹は心臓や肺をはじめとする重要な臓器を保護しながら、腕や脚が活動するときの基盤としての役割を果たし、また、活動時には180以上の関節を複雑にコントロールし、ダイナミックな運動を提供すると共に呼吸を行うといった、複数の重要な役割を同時に担っているからです。

しかし、日本のスポーツ界は体幹トレーニングに限らず、あまりにも筋肉の活動を重視するトレーニングに重点を置き過ぎていて、本来カラダに備わっているはずの効率的な動きを犠牲にしている場合が少なくありません。

また、体幹やトレーニングに対する考え方は、トレーニング指導者や選手によっても様々なため、体幹トレーニングと称し、永遠と筋力強化を続けさせられている選手もみられます。

 

  

 

2.いきなり体幹トレーニングは行えない

 

スポーツの分野において、体幹の重要性は広く知られるようになってきました。現在では体幹トレーニング(コアトレーニング)として、数多くのトレーニング方法が書籍やメディアなどで紹介されています。

腹横筋や多裂筋など体幹を構成する筋肉の強化をするもの、バランスを重視したもの、またピラティスや体操のようなものまでが体幹トレーニングと紹介され、まるでファッション業界の流行のように様々なものが紹介されます。

確かに腹横筋や多裂筋などは非常に重要な筋肉なのですが、どのような時にも安定したパフォーマンスを求められるプロスポーツ選手やアスリートのための体幹トレーニングは、一般的に紹介されているような体幹の筋肉だけに焦点をあてた、画一的なトレーニングでは十分なトレーニング効果が感じられないのではないでしょうか。

なぜなら、体幹は180以上の関節が集約しており、筋肉や靭帯も含め非常に複雑な構造になっています。そのため、体幹は様々な動きができる反面、非常に問題が生じやすい場所でもあり、また、その複雑さゆえに問題を見逃されやすい場所でもあるのです。

例えば、体幹の不安定さや、腕や脚の力がうまく発揮できないといった場合、単純に筋力が低下しているのではなく、背骨や肋骨の動きが制限されることで筋肉の力が発揮しにくくなくなっている可能性が考えられます。このような状態は、動きに先立った体幹のインナーマッスルの活動や、腹圧がかかりにくいため、大きな筋肉の緊張を強めて身体を安定させようとしています。

こうした状態では、大きな筋肉がカラダの「安定」と「動き」の2つの役割を担わなければならないため、非常に効率が悪くなっています。トレーニングを行っていけばさらに大きな筋肉の負担を高めて行くことになり、カラダはさらに動きにくくなっていきます。

体幹のトレーニングを行う必要がある場合、いきなり体幹トレーニングに取り組むのではなく、圧倒的に全身のコンディションを整え、体幹の機能が発揮しにくくなる複数の問題を解決しながら、体幹を含めた全身のトレーニングを行っていく必要があるのです。

 

 

 

3.お腹をへこませ硬くするのは誤った体幹トレーニング 

 

体幹には人間の重心が位置しており、動きの基になる重要な場所です。そして、その重心はどのような時にも常に動いており、1カ所に止まることはありません。

通常ほとんど意識されることがないと思いますが、あなたが全く動かないように立ったり、座ってると思っていても、身体は小さく揺れながらバランスを保っており、その動きを止めることはできません。そのため、体幹はいかなる時も、さまざまな動きの中で無意識にコントロールされた安定性(動的な安定性)が必要とされます。

体幹トレーニングで重要なことは、体幹の安定性を意識するがために、お腹をへこませ腹部を硬くしてしまわないことです。お腹をへこませ硬くした状態は、腹筋などに力が入って体幹が安定していると思ってしまいがちですが、逆にスムーズに動くことが妨げられ、スポーツパフォーマンスが低下する原因となるため注意が必要です。

体幹の機能を最大限に発揮するためには、常に筋肉を緊張させて力を入れておくのではなく、全身がスムーズで無理なく動ける状態が必要です。それは、プレー中に生じる重力の影響や重心の移動において、常に最適なポジションを選択することができ、競技に求められる動きに対し、全身の筋力を効率よく発揮できる状態を獲得することになります。

 

  

 

4.体幹の筋肉のみに焦点をしぼらない

 

体幹トレーニングというと、誰もが体幹の筋肉のみに焦点を絞ってしまいがちです。また、「体幹トレーニング = 体幹の筋肉を鍛えるトレーニング」というように鍛えて強くするという考え方では、なかなかパフォーマンスを高めていくことができません。

体幹トレーニングで重要なことは、腹筋の活動を強めどれだけ強靭な体幹にするかといったことや、いかに難易度の高いトレーニングが行えるかということを考慮するべきではありません。

例えば、座っている状態で股関節をしっかりと曲げれない状態(骨盤を起こせない状態)は、骨盤を後ろに倒し背中を丸める姿勢になりますが、そうした姿勢の変化は、体幹の筋肉が働きにくい状態となるため安定性も低下してしまいます。

このような状態で安定性の低下した体幹をトレーニングで鍛えようとしても、体幹の筋肉は働きにくい状態になっているためトレーニングの効果は得られません。この場合、骨盤を起こすことを妨げている股関節の柔軟性を取り戻し、体幹の筋肉を活動しやすい状態にすることが結果的に体幹トレーニングになるのです。

確かに体幹は重要なのですが、安易な体幹トレーニングを行うことによって、一部の筋肉に過剰なストレスをかけてコンディションを悪化させることがないよう注意が必要です。体幹の筋肉を鍛えるがために、レベルに応じていない難易度の高い体幹トレーニングを行えばおこなうほど、大きな筋肉が努力し緊張を強めていくため、あなたのパフォーマンス低下させる可能性が出てきます。

あなたのパフォーマンスを向上するために必要な体幹トレーニングとは、大きな筋肉が過剰に働いていたことで今まで使うことができなくなっていた、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋、横隔膜を代表とする体幹の筋肉を無意識に使う感覚を取り戻していくことだ考えています。

そのためには、スムーズに全身が動くことのできる状態を実現する必要があるので、筋肉の緊張を調整するだけではなく、関節をはじめ筋膜・皮膚の滑りや効率の良い全身の動きを取り戻しながら、体幹の筋肉が働きやすいコンディションンに調整することが必要になります。

一見、体幹トレーニングとは全く関係がないと思われるかもしれませんが、こうした細かな調整の積み重ねも重要な体幹トレーニングとなります。このように体幹を含め全身状態の全てが、運動パフォーマンスに関係しており軽視できません。

 

 

 

まとめ 

 

体幹トレーニングをすすめていくことは、あなたの身体のメカニズムを理解する挑戦でもあります。体幹のトレーニングとして、筋力強化やバランスの向上だけに終わるのではなく、スポーツの動作や重心と体幹、あるいは呼吸と体幹がどのような関係にあるのかなど、幅広い視点で体幹トレーニングを捉え実践していく必要があります。 

1.パフォーマンスを発揮するために体幹は重要である

2.体幹トレーニングはいきなり行えない

3.無理なトレーニングはパフォーマンスを低下させる

4.お腹をへこませ硬くするのは誤った体幹トレーニング

5.体幹トレーニングは筋力を鍛えるトレーニングではない

6.体幹の筋肉を無意識に使う感覚が重要

7.体幹を活かすためには「しなやか」な動きが必要

6.体幹だけでなく全身状態の全てがパフォーマンスを決定する 


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